深見友紀子 最高裁・パートナー婚解消訴訟 オフィシャルサイト

本件に対する法律関係者の論考
判決直後から2005年末まで

石川博康「婚姻関係および婚姻外の男女関係の存続保護をめぐる二つの最高裁判決」に対する私のコメント

 石川博康さんの解説は東京高裁の判決と最高裁の判決とを対比させ分析している点が特徴です。

 「・・関係の一方的な解消による不法行為の成立を肯定した原審判決の論理構造が問われざるを得ないが、この点につき、原審判決においては、関係の解消それ自体ではなく、その解消プロセスもが不法行為の成否の判断に際して考慮に入れられている点がとりわけ注目される。」

 東京高裁の裁判官は、私にも相手にも何度も実際に個別に面談し、文面だけではなく、それぞれの言葉による主張に接したという点で、最高裁の裁判官たちとは状況が異なっています。面談でどういった話がなされたかは記録として残っていませんが、このサイトでいくつかアップロードしている相手の文面からも想像できるように、相手は16年のパートナー関係そのものを否定するやり方に終始しました。16年間脅迫されて関係を持ち続けたと主張し続けたのです。関係そのものを否定するということは、法律婚の男女の間ではあり得ないことですし、嘘をついていることは誰の目からみても明らかです。判決を下す際に、この相手の態度が高裁の裁判官には強く印象づけられた可能性は高いと思います。この高裁判決が裁判官の価値観の偏りの結果かどうかはわかりませんが、仮に偏りがあったとしても、同様に、最高裁の裁判官たちの価値観に偏りがなかったとは言い切れないです。

 「もし存続保護が与えられるべき法的利益が本件関係に存在していないのであれば、その解消に際して当事者がどのような行動を採ったかということは、問題となり得ないはずである。」

 この記述は論理的に間違っています。
 石川さんが本当にそう思っているのであれば、東京高裁の判決は何ら意味を持たないことになり、高裁と最高裁の判決 を対比して論述するというアプローチ自体が無意味ということになります。
 存続保護が与えられるべき法的利益が本件関係に存在していても、その解消に際して当事者がどのような行動を採ったかということが"問題となる場合"(A→B)と"問題とならない場合" (A→ not B)があり、存続保護が与えられるべき法的利益が本件関係に存在していなくても、その解消に際して当事者がどのような行動を採ったかということが"問題となる場合" (not A→B)と"問題とならない場合" (not A→ not B)があるというのが正しい解釈であるはずです。もし、法律家の方々がこの私の主張を一笑に付すのであれば、法的保護、存続保護などといった言葉を当たり前のように使いすぎた結果、マンネリ化して解釈力、判断力を欠いてしまったゆえであるといわざるを得ないでしょう。

(2008年4月8日 若干加筆修正)

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