深見友紀子 最高裁・パートナー婚解消訴訟 オフィシャルサイト

本件に対する一般の人々の反応
Part 1

「池内ひろ美の考察の日々」 〜2004年11月22日「パートナー関係:法律は守らない」

November 22, 2004
パートナー関係:法律は守らない
「パートナー関係」維持の義務なし 女性側が逆転敗訴(最高裁)
記事つづき

■2人出産・別居16年、関係一方的破棄でも賠償認めず

 婚姻届を出さずに別居しながら子供2人をもうけ、約16年間にわたりパートナー関係を続けた大学教授の女性(47)が、相手の会社員の男性(49)から関係解消を突然告げられたことに対し、慰謝料500万円を求めた訴訟の上告審判決が18日、最高裁第1小法廷であった。

 横尾和子裁判長は「別居し、共有する財産もないうえ、子育てでも協力しておらず、関係存続の合意もないことは明らかで、賠償請求権があるとは言えない」と判断。男性に100万円の支払いを命じた2審・東京高裁判決を破棄し、請求を棄却した。女性の敗訴が確定した。

 「内縁」や「事実婚」については、婚姻届を出した法律婚と実態が同じなら、賠償や財産分与などの法的保護を認めるのが通説だが、現代型のパートナー関係の中には保護が認められないものもあることを示す判断で、議論を呼びそうだ。

 判決などによると、2人は1986年、婚姻届の提出を取りやめ、「特別な他人として親交を深めることに決めました」と友人らに宣言。同居はせず、長女と長男をもうけた時だけ婚姻届を出して、出産後、すぐに離婚手続きをした。子供の養育は男性の母親や施設に任せたが、旅行に一緒に行くなど関係は続いた。

 ところが、2001年に男性が、別の相手と結婚することを女性に告げたため、女性は「パートナーシップを破壊され、精神的損害を受けた」として提訴した。

 1審・東京地裁は請求を退けたが、2審は、「関係継続への期待を一方的に裏切った責任は免れない」として賠償を命じていた。(読売新聞) - 11月18日14時8分更新

 日本の法律による結婚は、「法律婚」と呼ばれ一般的に行われている。婚姻届を提出し、一組の男女がそれまでの戸籍を離れて新しい戸籍を作るものだ。

 対して、通称「事実婚」と呼ばれるものがある。これは法律には定められておらずあくまでも便宜上そう呼ばれているもの。法律に結婚を認めてもらうのはおかしいとの主張のもと、男女は入籍せず、子どもが生まれた時だけ夫婦として入籍し出生届を出し、その後離婚届を提出し男女は別々の戸籍になる。福島瑞穂議員の家族などがその方法を採っている。

 さらに「事実婚」ですらないのが、今回の最高裁判決となった「パートナー関係」とやらである。

 法律に結婚を認めてもらうのではないとしながら、出産では夫婦として入籍するのは、子どもを非嫡出子にしないためですね。しかし、ここですでに法律に縛られているという自己矛盾がある。彼らはそれを語りたがらないし、自己矛盾を指摘すると逆ギレされそうだが。

 毎月行っている『離婚の学校』でも、このいわゆる「事実婚」者の参加もありときに質問を受けることもある。

 「10年間事実婚だったことの慰謝料は請求できないんですか。私の権利はどうなるのか」
「事実婚の間に形成された財産の、財産分与はどうして請求しても払われないんですか」
主にこういった内容である。

 弁護士ではない私は、あくまでも一般論として答える。
 財産分与や慰謝料の請求はできるが、「請求する」と「受け取る」あるいは「支払わせる」は異なる。請求はなんだってできるし金額もいくらでも請求可能だ。しかし、受け取るためには、合意や支払い命令の理由が必要である。
 事実婚であれば相手方に支払う意志の有無に関わらず財産分与は可能であるし、相手方が慰謝料を払うべき原因を作ったと自覚し支払う意志があるなら慰謝料を受け取ることも可能だ。

 そもそも「法律婚」は法律によって守られるものだが、「事実婚」には事実があるだけである。そのぶん純粋な愛情だなどと青臭いことを私は言わない。結婚は婚姻年齢に達した男女による契約である。

 日本人には結婚が男女の契約関係だとの意識が低いが、個人の意識が高かろうが低かろうが、判子文化の中で自らの手によって署名押印する契約である。

 契約を行わないでおいて(あるいは出産の度に契約を自ら解除しておいて)、契約上守られるべきであると法律の庇護を求めるのは矛盾している。法律に守ってほしいのであれば、法律上の契約関係を結ばなければならないのは当然のことだろう。とはいえ、日本の法律はけっこう甘いので、法律婚と同様の実態がある事実婚であれば法律も保護の対象としている。

 私自身の話をすれば、法律婚→離婚→事実婚→法律婚である。
 一度目。婚姻届を提出し新戸籍を作り子どもを成し出生届を提出した。そして結婚8年で離婚届を提出し、娘の親権者を私と定め二人の新戸籍を作った。そして私に恋人男性ができた。

 その後2年ほどが事実婚であり、彼と私と娘が3人で別々の戸籍のまま世帯をひとつにし同居していた期間。

 そして二度目(彼は一度目)の婚姻届を提出し子どもと彼を養子縁組みし新戸籍を作った。二度目の法律婚である。なぜ法律婚を行ったか? これは、明確に法律に守ってもらうためである。なにを守るか? 未成年の子どもである。

 私はあまり身体が丈夫ではないのでいつ死ぬか分からない。いつ死んでもいいや、とも思っていたのだが、当時すでに別れた夫は再婚し新しい妻との間に子を成していた。
 この状態で私が死亡するとどうなるか。

 私の恋人男性である彼と娘がどんなに理解しあい血縁のある親子以上に仲良く暮らしていたとしても、親権者である私の死亡によって娘の戸籍は別れた夫のもとへいく。もちろん、恋人男性と娘が、別れた夫のもとへいくことを拒否し調停を行い審判を受けるなどの手続きをとれば避けることはできるだろうが、その手間をかけず法律に守ってもらう方法が再婚・養子縁組みである。

 新しい夫との間に婚姻関係を結ぶだけでなく養子縁組みを行うことによって、これで私がいつ死んでも娘の父親は今の夫だ。別れた夫の新しい家族をおびやかすこともない。

 余談だが、親権者を離れても相続権は残るため、たとえばウチの娘は、別れた夫と今の夫いずれの死亡によっても遺産相続の権利がある。別れた夫の側には新しく子どもが生まれているため相続放棄することを考えるようすでに娘には伝えてあるが。

 そんなこんなを含めて、「法律」だ。
 法律は、困っているから弱っているからと守ってくれるものではない。法律を知るものを守る。自身の身分と自身が持つ権利は最低限知っておこう。階級社会ではない日本において私たちが持つ唯一の身分が「戸籍」である。

 いずれにしても、戸籍法というのはかなり厄介なもので、弁護士によっては解釈が異なるところであるから、もし、事実婚者が混乱する事態がおこっているのであれば事実婚を理解する弁護士を見つけて法律相談を行うか、調停から裁判なんかも視野に入れておくほうがいい。

02:20 PM in 法律・事件 | 固定リンク | コメント (3) | トラックバック (2)

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