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 このノートブックは、深見友紀子が原告となった裁判・最高裁パートナー婚解消訴訟の補足説明としてスタートしました。裁判の内容を知らないと理解しにくい文章があると思いますので、興味のある方は、下記サイトまでアクセスしてくださいますようお願いします。
http://www.partner-marriage.info/

 2009年以降のノートブックは、「ワーキング・ノートブック」に移転しました。

自分の顔を愛撫する手がない(マリオ・ジャコメッリ)

 4月20日
 新学期、慌しく落ち着かないです。
 春はウキウキする季節といわれますが、節目の季節は、新しい生活を始めた人にとっても試練の季節ですものね。12歳のときから不眠症の私は、特に25歳で東京藝大に入ったばかりの頃、一日せいぜい3~4時間ぐらいしか眠れず、このまま病気になるのではないかと思ったことがありました。あれも春、しかも私にとっては新しい再挑戦の春でしたが、まったくウキウキした気分にはなれなかったです。
 憂鬱な春・・。きょうは予定していた用事がなくなったので、少し気分転換をするためにパートナーのSさんと午後遅くから出かけることにしました。

マリオ・ジャコメッリ展(恵比寿・東京都写真美術館)、映画『ラフマニノフ ある愛の調べ』((渋谷・Bunkamura)を見た後、台湾料理店「麗郷」に行きました。

 「自分の顔を愛撫する手がない」・・いい写真でした。私はこれからこういう人生を生きていきたいと思いました。


便利で安い

4月6日
 JR東海エクスプレスにEX-ICカードが登場。京都⇔東京の料金が安くなりました。改札口の機械をEX-ICカードでタッチするだけで、座席券が出てきてホント便利!
 でも、このカードのパンフレットが届いたとき、何やら細々書いてあって、よくわからなくてうんざりしたんです。
 保険の約款や投資信託の目論見書はわかりにくく書くことによって提供する側にメリットが出る場合があるのかもしれないけど、こういうカードに関してはできるだけわかりやすく説明してほしいですね。高齢者は読む気になれないです。

 東京駅ではSuicaで乗り継ぎ、京都駅ではそのままEX-ICカードでタッチ&ゴー。在来線との乗り継ぎの関係で料金が高く場合もあるらしいですが、私の場合、東京駅からは地下鉄、京都駅からはバスなので、往復で400円安い。これだけわかれば十分。
ファイル 261-1.jpg
 値上げラッシュの今春、“便利で安い”はうれしいです。


新しい年度はサイトの更新とともにスタート

4月2日
 3月31日で京都女子大の児童学科主任の任期が終わりました。
 1つの大学のたった1つの学科の長としての1年でしたが、この立場を通じて私立大学の在り方や大学の運営の仕方、教員公募の手続きなどについて学びました。振り返ってみるとなかなかいい1年でした。この年度の替わりを機に、出し損なっていた年賀状の返事を書きました。
 新しい気持ちで4月1日を迎え、まず最高裁・パートナー婚解消訴訟のページのリニューアルを開始。今週末までに新しいページの“基礎工事”を完成させ、その後、新しい資料、新しいコラムなどを加えていきたいと思っています。

 先月交通事故に遭ったタレントの大東めぐみさんが、「マスコミの報道について「私の言い分」として紹介されている箇所が何度かあったが、私は事故から、ここまで、事故のことは一切誰とも「話していない」 同じマスコミにいる人間として私の言い分って、「誰の言葉」なんだろうかと、それにもとても傷ついた」と複雑な思いも明かしていましたが、私がこの最高裁・パートナー婚解消訴訟のページを作ったのは、似たような複雑な気持ちからでした。 

 事実の断片を聞きかじったり、判決文を斜め読みしただけで、マスコミにコメントする法律関係者、匿名でネットに書き込む人たち、判決文を読んだだけでフィールドワークもせずに法律専門誌に綴る法律関係者たち、研究会を開いて、一度も見たこともない子どもの発達心理学上の問題点を論じ合う人たち(2005年7月21日(木)東北大学法学部棟2階 大会議室 16:05~17:30「婚姻外の男女関係の解消と民法の保護」)に対して、「いい加減にせんかい」という気持ちを持っています。

 音楽教育を専門とする私が、法律家たちの論説に対してコメントをするのは自身の専門分野での論文を書くことよりずっと骨の折れる作業ですけど、私にとっては脳トレです。


最高裁・パートナー婚解消訴訟サイト更新作業

3月30日
 現在、最高裁・パートナー婚解消訴訟のページのリニューアルの作業中です。法律家による最高裁・パートナー婚解消訴訟についての論述についても、さらにわかりやすく提示する予定です。
 私は、以下の方々のうち、星野さんと何度かFAXでやり取りしただけで、どの方ともまだ面識はありませんが、大学のホームページと研究開発支援総合ディレクトリ(ReaD)があれば、どんな方かわかるし、顔までわかります。

以下、敬称略。
1.水野紀子
2.石川博康
3.良永和隆
4.本山敦
5.星野豊(http://read.jst.go.jp/ より星野豊で検索)
6.田口文夫

 1.~4.の方々は最高裁の判決を支持していて、5.と6.の方は、どちらかというと不支持です。
 法律家というのは、六法全書を丸暗記して、たくさんの判決例と照らし合わせて、「どうの、こうの」言う人たち、あるいは、「勝てる、負ける」と判断する人たちというイメージがありました。
 それまでになかった新しい見解に基づいた判決が出ると、それを自分の判決例データベースに取り込み、それまでとはちょっと違った「どうの、こうの」言う人たち、あるいは、「勝てる、負ける」と判断する基準をちょっと変更する人たちというイメージ。でも、5.の星野さんの論文を読んだときに、それは偏見だったと気付き、法律家にもクリエイティヴな人がいるんだと感動しました。
 事件の当事者で、事件の事実や原告、被告の心情を誰よりも把握している私が、星野論文に対してコメントを追加しようとしていたところ、原告、被告の心情を知らないはずの田口さんが、私が言いたかったことの幾つかを書いていらっしゃることを知りました。
 
 しかし、本田和子さんが「子どもが忌避される時代―なぜ子どもは生まれにくくなったのか」で記述したような、明治以降の複合的な社会変動までも視野にいれてこの事件を分析しようとする意欲を感じられるのは、筑波大学准教授の星野豊さんだけでした。

 「人」という種を絶滅から守るための生殖行為を、単なる私的行為を超えた「大いなる目的に奉仕する『公的』な営み」に位置づけよと主張する本田さんに対して、香山リカさんは、「「その責務を果たしていない私っていったい……」とまたまた「私」に拘泥してしまうのが、そもそも近代の病理なのだろう。近代的自我と「子ども」は両立するのか否か。あまりにもむずかしい問題だ。」と述べています。この事件で、私が子どもとの関係性において取った行動を近代的自我とも」を両立する一方法と捉えたら、また違う分析ができるのではないかと思いますが、1931年生まれの本田さんの後に続く論客はなかなか出てこないでしょう。
 他の研究者を検索するとき、研究開発支援総合ディレクトリ(ReaD)を利用することが多くなったので、私も自分のデータを更新することにしました。


キャンディ好きのおばさん(笑)

 3月27日
 小倉千加子さんが、若い女の子たちに向けて書いた「オンナらしさ入門(笑)」(理論社)を読みました。その中になかなか秀逸な文章がありました。点線以下に書き出したので、見てください。
 ひとつ、「お母さんが手に入れた・・」「お母さんが手には入れられなかった・・」とお母さんについては、“過去形”であることは気になりました。
 私はもうすでに51歳ですが、まだ手には入れられなかったキャンディもつかみたいと思っています。キャンディが入っている瓶の穴から手が抜けれなくなったら本望です。
 少し前、人生50年と言われた時代があったはずなのに、いい歳をして貪欲な人が増えたということなのでしょぅか。キャンディをつかむと手がベタベタするし、食べると虫歯になるし、リスクも大きいのだから、つかみたい人はどんどんつかみに行ったらいいと思います。
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 お母さんの価値観というものは、どこまで独自の価値観なのでしょう。親の期待は重要なものです。
 しかし、「親の目は、世間の目」という諺があるように、親というものは世間の目であなたを見ている可能性があります。親を満足させたいと思っても、親の満足が世間の基準の上に成り立っているのなら、親はあなたを通じて、「世間の満足」に満足しているに過ぎません。親がどこまで世間と一体化しているかということは、女子にとってとても大きなことなのです。
 お母さん、あなたの中にどこまで「お母さん」がいて、どこからが「世間」なの?
 もし、あなたの親が世間の価値観とまったく同じで、そしてあなたが世間を満足させていないのなら、親はあなたに満足しません。親はあなたが世間を満足させていることに満足しているからです。
 「優越」とは、他人に勝つことです。
 「いい成績をとれ」とは「男子に勝て」というメッセージなのに、「女らしくしなさいということは「男子に上手に負けろ」というメッセージでしたね。
 「いい成績」で「いい子」の女子は、男子に勝ちながら男子に負けるという矛盾したことを要求されています。お母さんは、あなたが、成績がよくて、仕事もして、結婚はして、子どもを産んで、女として幸福になってもらいたいと、キルトのように継ぎ接ぎの夢の応援をしているのです。何が幸福か分からないので、とりあえず選択肢を増やしておこうというつもりですね。それが相互に矛盾しているとは思っていません。人生とは矛盾そのものでからです。
 現実には、お母さんが手に入れたキャンディはもちろんのこと、お母さんが手には入れられなかったキャンディもつかんでしまうと、キャンディが入っている瓶の穴からあなたの手は抜けなくなるかもしれません。
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見事なPrestoといらいらするLento

 3月26日
 一週間、有給休暇を取りました。
 のんびりしようと思っていたのに、大学の助成金が幾つか採択され、(最終版の)申請書を提出しなければならないため、のんびりできなくなってしまいました。ぐちっているのではありません。ありがたいことです。
 それぞれの物品に関して2通の見積り書、カタログが必要。
 そのうち、Dellのサーバは直販だけだと思っていたら、新潟在住の友人、Nさんが、大阪に通販より安く価格設定してくれるところがあると教えてくれました。
 昨日の昼頃、その会社に私が電話をし、NさんがメールでワークステーションPrecisionT7400の構成を伝えて、きょうの朝にはDellの直販よりも少し安い見積り書と、おまけにDellのサイトからの見積り書、カタログがPDFで送られてきました。私は東京から京都に移動して直接大学に行き、研究室でカラープリントして大学に提出。
 量販店では実質22時間でこんなサービスしてくれないですねぇ。
 見事なPrestoでした!
 幾つかの申請書を提出して、一週間ぶりで京都のマンションに戻ると、学科主任宛の速達が大学のある部署から届いていました。学科で検討しなければならない用件が書かれ、「返答は大至急」と目立つようにゴシックで添えられていました。
 そもそも多くのことが主任経由であることが必要以上に主任の雑用を増やし、仕事のテンポを遅くしているのは明らかなのですが、空家に速達が届いてはどうしようもありません。速達は郵便受けの中で眠っていました。
 メール添付か、ダウンロードできるようにしてくれるだけで、他の教員も共有できるのに。  
 いらいらするLento。
 昔、昔、男の大学教授の家には常に家にいる「家人」がいたかもしれませんが、今はみんな留守だし、私たちはパートナー同士でも相手に届いた郵便物を無断では開封しないです。取引銀行が全部同じなので、1年に何度か間違ってパートナーのSさんへの郵便を開封して、「預金、何者かに引き出されているぅぅぅぅ」と心臓が止まりそうになることはありますが!!


3月、区切りの季節

3月16日
 この一年間の音楽隊&手づくり楽器隊の活動をまとめました。

 ミュージック・ラボのページも少し更新しました。

 深見研究室のゼミ生も全員無事卒業し、ビデオクリップをプレゼントしてくれました。この4年間、長かったような短かったような・・。私の京都生活もいよいよ5年目に入ろうとしています。

http://jp.youtube.com/watch?v=WzYql6P_cHY


ゆとり教育は間違っていない、か!

 3月14日
 『それでも、ゆとり教育は間違っていない』(寺脇研、扶桑社)を読みました。

 画一的な勉強と“基礎基本” (p.91) ←線引きは難しいです。
 引き出すのか、教え込むのか(p.54) ←バランス、難しいです。
 受けか、発するのか(p.55) ←バランス、難しいです。
 寺脇さん曰く、一部の親の中には「選択肢を増やすために東大に行かせる」なんて言う人がいらっしゃいますが、それは大きなウソです。「選択肢を狭めるために東大に行かせている」のです。それは、弁護士や官僚になれる可能性が高いということに過ぎません。(p.38) ←そうも断言できないでしょう。
 寺脇さん曰く、いい成績、いい学校が幸せに繋がるという考え方は、今の社会ではあてになりません。(p.39)←これも、そうも断言できないでしょう。
 寺脇さん曰く、ある程度のポテンシャルを持っている人間であれば、システムに乗っかるだけで、ある程度の結果が出せるような環境が用意されている。(p.71)←この場合の“ポテンシャル”とは何なんでしょうか。
 寺脇さん曰く、確かに子どもたちは放っておくと何もやらない。それは、「教えからの逃走」であって、「学びからの逃走」(佐藤学)ではない(p.153)。←教えからの逃走と、学びからの逃走を分けることなんて不可能ではないですか。

 時代の流れに乗っている人の書いた本は、単純化、マニュアル化されていて、買って損したと思うことが多いのとは対照的に、時代の流れに乗らなくなってしまった人が書いた本は、問題の根深さやを見せてくれます。


「愛情欲求」と「キャリア達成」とのバランス

 3月10日
 先週、娘が2泊3日で京都に来ました。
 1人でいろいろと廻りたい所があるらしく、ずっと一緒にいたのではなかったのですが、3日間、「お母さんはこう思う」などと話したせいなのか、週末、レッスンに来ている小学生姉妹に「先生はね。」という代わりに、「お母さんはね。」と二度も間違って言ってしまいました。

 『オンナらしさ入門(笑)』の中で、小倉千加子は、“自分の能力を「愛情欲求」と「キャリア達成」の両方に使う女子は最終的には「仕事」を自ら捨てていく確率が高いのです。”(P.119)と書いています。3日間で“お母さん一色”になってしまう私は、生まれて1ヵ月後から別々に暮らすことで、今まで「キャリア」に心を傾けて来れたのだと思います。
 
 2泊目は、娘が京町家に泊まりたいと言い出し、たまたま1人部屋が空いていたので、私の友人の知り合いが経営している「胡乱座」を予約しました。

 部屋に鍵がないことを知り、「鍵ないの?」と不安げな娘を残して私は自分のマンションへ。
 2時間ぐらいして「部屋の石油ファンヒーターは必ず消して寝るのよ」とメールをしたら、「台湾人とフランスの人と新潟の大学生と4人でいままでしゃべってた~ 超楽しかったよ」と返事が来ました。

 そろそろ自立し始めた現在の娘となら、「愛情欲求」と「キャリア達成」の両方のバランスがとれそうです。


最近読んだ本

 2月29日
 最近読んだ本を紹介します。
 東京藝術大学楽理科の一学年後輩である、佐藤望さんらが書いた「アカデミック・スキルズ―大学生のための知的技法入門」。慶應大学の学部生を念頭に置いて書かれたもののようですが、大学院生にも、また卒論、修論指導をする教員にも参考になると思います。
 大学院の演習で読み、書かれてある事柄をそれぞれ自分の状況に照らし合わせて考えてみるという風にしたところ、頭の中がかなりクリアになったみたいです。来年度は学部のゼミ生たちにも勧めることにしました。
 
 もう一冊は、中退した大学、東京医科歯科大学で同期だった入来篤史さんが書いた「研究者人生双六講義」。私は30年前の彼の姿を少しだけ覚えています。理科系の研究と、私のような音楽教育の研究では手法は異なると思うのですが、p.43に、(論文において)図や表などによって表示する際、初心者がまず注意すべき幾つかのコンセプトとして、同じデータを表と図の両方で重複して提示するのは禁物、と書いてあったのは気になりました。  
 私は最新の論文で、同じデータを表と図の両方で説明してしまいました。ダメなのかな。
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 そこで、この仮説を元に表1を分析する。2007年度も映像提出回数が1、2回の学生については2006年度とほぼ同じ傾向がみられる。ただし、標準偏差は2007年度の方が値が大きくなっていることから、2007年度は学生の実力のばらつきが大きいことも伺える。映像提出3回目以上の学生については、2007年度の方が平均点が2.7~5.0点高く、標準偏差も小さい(6.63、5.82)ことから、成績に加算しないという条件下でさえ自主的に映像提出を3回以上行った学生は高得点が得られたことがわかる。
 グラフにしてみると、さらに結果は明瞭になる。図1は、映像提出回数、全体に対する提出者の割合、期末実技試験の平均点の関係を示したものである。棒グラフは映像提出回数―提出者の割合を、折れ線グラフは映像提出回数―期末実技試験の平均点の関係を表している。は2006年度、は2007年度分の結果である。
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