記事一覧

 このノートブックは、深見友紀子が原告となった裁判・最高裁パートナー婚解消訴訟の補足説明としてスタートしました。裁判の内容を知らないと理解しにくい文章があると思いますので、興味のある方は、下記サイトまでアクセスしてくださいますようお願いします。
http://www.partner-marriage.info/

 2009年以降のノートブックは、「ワーキング・ノートブック」に移転しました。

4月最後の日曜日

 5月1日
 昨日の未明、高校3年生のときの同級生(女性)が肺炎で亡くなったとのメールが回って来ました。
 ある男性が、お参りに行ったという女性からのメールを受け取り、その人が別の男性に転送し、その人がパートナーのSさんに転送し、そのメールが私に転送されてきたのです。
 亡くなった女性は旧姓が( )で併記されていましたが、お参りに行った女性の文章には現在の名前しか書かれていなかったので、朝になって、クラス幹事の女性からあらためてお知らせメールがあるまで、誰がお参りに行ったのかわかりませんでした。
 私たちより若い世代では、業績、仕事の一貫性の大切さが理解され、女性の職場での旧姓使用は当たり前になってきましたが、本当に大切なことは、業績、仕事の一貫性といったような、目で見て明らかなものではないはずです。
 「誰が誰だかわからないじゃない」という私に、「谷亮子は姓を変えてやっているよ」とSさん。状況の違う人たちを同じように考えてはダメではないの、と思いました。ごく平凡な女性の人生の一貫性が大切なのに、女性自身さえ気づいていないです。

 “大切なことは目に見えないんだよ”

 午後は、久しぶりに早稲田の私の家に娘がやってきて、2時間ぐらい話をしました。
 その後、私は友人が出演するダンスパフォーマンスに、娘は私の両親の家に。
 http://www.ableart.org/AAonstage/2005partner1.html
 
 18時に一旦自宅に戻ってきて、京都に出かける用意をし、19時過ぎに最寄りの早稲田駅に向かうと、地下鉄・東西線が人身事故のため不通。仕方がないので、そのあたりにいた若い女性3人とタクシーにあいのりしてJR高田馬場へ、新宿に出て中央線で東京駅へ。30分もロスしました。

 49歳の若さで肺炎で亡くなってしまう人。もっと若いのに自ら命を絶つ人。 複雑です。亡くなった同級生は、大阪府庁の幹部候補だったのに結婚退職して関東に移り住んだそうです。退職せずに勤めていたら、違う運命だったのかしら。不思議な気持ちになりました。
 
 GWは、4日に高校時代の友人とランチに行く以外予定を入れず、京都のマンションにこもって、たまった仕事を片付けることにします。
 「私って、一人でいるの大好き、意外とひきこもりだよ」と話していた娘。一見社交的で実はひきこもり・・・どうも遺伝みたいです。

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地下鉄早稲田駅で女性が飛び込み死亡、2万人に影響
 30日午後7時ごろ、東京都新宿区早稲田南町の東京メトロ東西線早稲田駅で、ホームに入ってきた東葉勝田台発中野行き快速電車(10両編成)に女性が飛び込んだ。
女性は全身を強く打ち、まもなく死亡。この事故で、同線は九段下―高田馬場間で約1時間30分にわたって上下線とも運転を見合わせ、約2万人に影響が出た。
警視庁牛込署は自殺とみて、女性の身元の確認を急いでいる。女性は20~30歳ぐらい。灰色のスエットの上下に白いカーディガンを羽織り、黒い靴を履いていた。(2006年5月1日0時16分 読売新聞)


intimacy-親密

 4月29日
 4月18日の早朝に私が東京の自宅を出てから(4月20日のノートブック参照)、私とパートナーのSさんはすでに10日間離れ離れ。今週末は私が東京、Sさんが京都だったのですが、昨晩、Sさんが京都に来るのを最大限早くして、私が東京に戻るのを最大限遅くして、京都駅で1時間ほど会いました。

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From: s*******-****@ezweb.ne.jp
Date: Fri, 28 Apr 2006 18:05:22 +0900
To: fukami-***@ezweb.ne.jp
Subject: Re:これから乗る

1837着
>私は2006発とった

 法律上赤の他人で、しかも共有財産もない私たち。でも、東京、京都それぞれの冷蔵庫に残してきた卵の数と賞味期限さえも伝え合う、親密な関係です。


ぐっと来るねえ

4月28日

 京都女子大学の現代社会学部の先生が、最高裁・パートナー解消訴訟についてご自身のサイトで触れているのをみつけました。そんなに大きな大学ではないのですが、知らない方です。

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2005/11/12 (土)

http://www.yonosuke.net/~eguchi/papirer/papirer200511.html

 もうひとつ以前から注目しているサイトは、パートナー婚解消裁判の当事者のページ。 どの記事も文章が非常に難解で(おそらく論理に飛躍があって)、私は主旨をちゃんと読みとれないのだが、そこが泥沼の淵を覗き込んでいるようでぐっと来る。著作権も大丈夫なのか。 おそらくこのひとは、「自分がかかわった裁判についての論評なのだから当事者である自分は自由にそれを使うことができる」と考えているのではないかと私は邪推してしまう(あるいは法文や裁判所の判決文と、その他の文章とを混同しているのだろうか)。そういうふうに発想や思考方法が一見自己中心的に見えるところがこれまたぐっと来るねえ。
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 普通、「ぐっと来るねえ」というのは誉め言葉ですよね。
 パートナーのSさんに知らせると、「サポーターのような気がするけど。」と言い、この先生が自分の“血液検査”の結果を克明にネットで公開していることを「こういうのを自己中心的というんだな。」と言いました。

2005/11/02 (水)
濁った血液
http://www.yonosuke.net/~eguchi/papirer/blood.html
 ↑
この検査結果は、かなりやばいですよ。

 自己中心的な人が、主旨をちゃんと読みとれないのに、「発想や思考方法が一見自己中心的に見えるところがこれまたぐっと来るねえ。」と“一見”という単語をわざわざ使う。おもしろいなぁ。じゃ、じっくり見たら、自己中心的ではないに変わるかもしれません。

 私は「自分がかかわった裁判についての論評なのだから当事者である自分は自由にそれを使うことができる」とは少なくとも考えてはいないし、法文や裁判所の判決文とその他の文章とを混同していないつもりだし、著作権についても最大限気を遣っているつもりです。でも・・・・“やったもん勝ち!”です。

 京都大学大学院文学研究科倫理学専攻博士課程単位取得退学の先生に、文章が非常に難解と言われてしまった私。複雑だなぁ。遊びのような授業ばかりしていないで、文章力を鍛えなくっちゃ!
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AERAの、恐っ!

 4月26日
 先月からしばらくの間「AERA」を定期購読することにしました。大学の近くの書店から届けてもらっています。
 テーブルの上に置いてあった06年4月24日号を見て、学生が「恐っ!」と思わず声をあげました。他紙の表紙よりもドアップの顔が定番の「AERA」。表紙の数学者、藤原正彦さん(お茶の水女子大学教授)の顔写真が彼女にはどうも恐かったようです。彼女たちの「きゃーカワイイ☆」「ひぇーっ、恐っ\(>o<)/」をバカにしてはいけません。あたっている時が多いからです。

 記事を読みました。
 夫妻への取材ではなく、藤原正彦さん個人への取材なのに、“都内のスタジオには、夫人が最初に現れた。少し遅れてきた藤原正彦さんらに「どこ通ってきたの」。”で始まり、“夫人と顔を見合わせて、笑った。”で終わっています。
 『第二の性』そのものですね。こっちのほうがよっほど「恐っ!」です。

http://opendoors.asahi.com/data/detail/7343.shtml


初めてのドラム・ライヴ

4月24日
 昨日は木屋町のライヴハウスで、初めてのドラムライヴに出演。若い子達にまざって演奏しました。発表会で出番を待つ生徒の気持ちがわかりました。

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From: ××××××××@ezweb.ne.jp
Date: Sun, 23 Apr 2006 21:57:49 +0900
To: fukami-××@ezweb.ne.jp
Subject: Re:

ライブお疲れ様!
きもちかったでしょー

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 私と娘とは普通の母娘とは違うものでつながっている気がします。


東京芸大名物、バタ丼

 4月23日
 今週末、東京でのピアノ・レッスンは若いN、E先生に任せて、京都にいます。パートナーのSさんは今週末は東京、来週末は私が東京、彼が京都なので、4月18日の早朝に私が東京の自宅を出てから(4月20日のノートブック参照)おそらく4月30日の夜遅くまで、2週間も会えないという、この4年間で最長記録になりそうです。
 昨日は関西楽理研究会の例会が京都教育大であったので行ったところ、何年かぶりに、京都教育大で教えているインド音楽の研究家、田中多佳子さんに会いました。
 彼女と私は東京芸大の楽理科の先輩後輩。彼女が大学を修了したときに、私は学部を卒業しました。私は25歳で入学したから、彼女のほうがたぶん少し年下のはず。
 例会の後の食事会で、「深見さん、謝恩会のときに派手なドレスを着ていて、長い手袋をしていたような気がする。」と彼女。私はあまり憶えていない・・・。インドに留学していたことがある田中さんをはじめ、イラン、タイに行っていた人が隣や前のテーブルにいて、そうした地域の食べ物の話に花が咲きました。
 家に戻ると、ノートブックを読んで科研費採択を知った友人から「おめでとうメール」が届いたのですが、「深見さんと“閉店間際のデパートの安売り惣菜”がリンクしません。“エレガント”な深見さんはいつも“高級おフランス料理”というイメージです。」と書いてありました。
 またまたイメージ先行ですね(笑)。まぁ、“高級おフランス料理”で食べているのに、“めし屋”で食べているようにしか見えないよりは格段にいいですけど。

 イメージと実際について・・。
 東京芸大の「大浦食堂」にバタ丼というメニューがあります。
 作り方をみるとわかりますが、一人前150円ほどです。これを食べて、派手なドレスに着替えてピアノを弾くと、“高級おフランス料理”を食べて出てきたかのように見えますよ。

バタ丼の作り方
http://www.marusanai.co.jp/shinohara-foodcourt/recipe/0409-3.html

 私が最高裁・裁判相手と親しくなったのは、21年前、このバタ丼を作ってくれたのがきっかけでした。彼は昭和55年大学院入学だったので、バタ焼きとご飯がセパレートしていたのですが、私が学部に入学した57年に、丼としてドッキングしたようなのです。料理をしない私でさえ作るこのメニュー。もやしははじめから切れているので楽ですよ(笑)。

 二週間も会えないので、Sさんとはパソコン同士の無料電話、skypeで話をしました。私が大学生の頃、東京と関西の電話代ってすごく高かった・・・・。
 テクノロジーの進展は人に幸せをもたらします。
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科研、リベンジなる!

 4月20日
 科学研究費補助金、基盤研究 (2005年10月26日のノートブック参照)の採択が内定しました。 「教員・保育者養成のためのピアノ実技e-ラーニングコースの設計と開発」 

Date: Thu, 20 Apr 2006 11:42:53 +0900

おめでとうさん

>小林さん、中平さん、ついでにSさん

>深見です。
>受かった!!!!!!!!
>
>17日に内定って、日本学術振興会のサイトに出ていたから、昨日は10回もレターボックスを覗いてたのだけど。
>私立は科研に弱いというジンクスを破ったよ!

日本学術振興会
http://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/index.html


 前任校、旧国立大学の富山大学では3戦3勝だった科研費に、昨年はあえなく落選。
 私立大学は旧国立大学より受かりにくい、決め手は研究協力者の業績・・などといろいろ噂はあるようですが、本当のところはわからないです。科研費に応募しない教員の名簿リストを教授会で配布し、科研費に応募しない教官=研究をさぼっている先生とされていた前任校と違って、今の大学では応募する教員がそもそも少数。受かりにくいのではなく、応募者自体が少ないのでは?(「競争的研究資金」に応募者が少ないということが問題といえば問題だけど。)

 京都女子大で研究代表者として採択された教員12名のうち、女性が4名。女性が占める割合もまあまあです。

 研究がテクノロジー寄りの私は、音楽教育の世界では刺身のツマなので、「子ども・音楽・大学・教育・テクノロジー」をキーワードとして、競争的研究資金に挑戦し、対外的に自分なりのポジションを作りたいんです。「音楽と接していれば幸せ」という音楽仲間が大勢いるけれど、私は彼ら(彼女ら)ほど音楽そのものは好きではないので、“好き”というだけではやれない仕事がしたいんです。

 一浪で大学に合格した受験生のような気持ち。ホントによかったです。
 
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 (注)科学研究費補助金=人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究資金」であり、ピア・レビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行うもの


悩んでいる暇もない二日間

 4月18日
 6時30分起床
 6時50分、東京の自宅を出る。
 東京駅のドトールコーヒーでロイヤルミルクティーのMサイズを買い、JR東海エクスプレスのポイントを使って、7時33分発ののぞみグリーン車に乗る。
 9時53分京都着
 10時01分、京都女子大行きのプリンセスラインバスに乗る。
 研究室に直行して、ノートパソコンにパワーポイントのデータを入れる。
 10時35分~12時05分、ノートパソコンを持って2時間目
 研究室に戻ると、ゼミ生が弁当を買ってきてくれている。ご飯を食べながら卒論のミーティング。
 13時~14時30分、ゼミ。
 14時45分~18時、5人ずつ4グループに分けて、20人の学生にピアノ・弾き歌いのレッスン。
 18時~ 後片付けして、東山七条からバスに乗り、四条京阪下車、キャリーを自宅マンションに置いた後、閉店間際の四条高倉の大丸地下食料品売り場に。ほぼ半額で食糧を調達。
 20時~21時、1年4ヶ月前から通っている頭皮ケア。
 自宅に戻って、荷物の整理、授業の準備、メールの送受信・・・・・・
 2時55分就寝。

 4月19日
 7時25分起床。
 8時50分~10時20分、1時間目
 10時30分~11時50分、卒論のミーティング。
 A食堂で昼食の後、ダンス同好会のパフォーマンスを観る。
 13時~14時30分、3時間目
 15時~16時30分、児童学科会議
 16時30分~17時55分、将来構想会議
 18時~19時、三学科連絡会議
 19時~ 後片付けをして、T先生の車に乗せてもらって河原町三条へ。
 20時~20時50分、ドラムのレッスンを受ける。
 ダイソーで実習に使うクレヨンを10セット買い、食糧を調達して帰宅。授業の準備、メールの送受信。冬のセーターを全部洗濯。
 もう3時をまわった。

 専業のアーティストや研究者のように、四六時中突っ込んでひとつの物事に取り組む才能がない私は、一週間のうちに、悩んでいる暇もない分刻みの日々が何日かあることによって、残りの日々はひとつの物事に没頭する意欲が沸いてくる。大学の先生でよかったなぁと思います。


“公立塾”が出来るらしい

 公立学校を5日制にした文部科学省が、“公立塾”を始めるのだそうです。
 何のために学校があるのだろうと思いました。
 団塊世代の教員の再就職先を確保するため? でも、いい先生だけが講師を希望するとは限らないですよね。それどころか、いい先生はこれ以上教育委員会などと関わりたくないと思っているかもしれません。
 通塾する子どもとの学力格差を解消するのが狙いというけれど、公立小中学校Vs私立小中学校に、“公立塾”Vs“私立塾”が加わり、ますます複雑な状況になっていくことは心配しないのかな。
 結果を出さないと生き残れない“私立塾”と、税金を使ったうえに結果を出さなくてもいい“公立塾”との間にも妙な差が生じそうです。

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塾に通えぬ小中学生に“公立塾”

 経済的理由などで塾に通えない子どもを支援するため、文部科学省は来年度から、退職した教員OBによる学習指導を全国でスタートさせる方針を固めた。

 通塾する子どもとの学力格差を解消するのが狙いで、放課後や土・日曜に国語や算数・数学などの補習授業を行う。

 来年以降、団塊世代の教員が相次ぎ定年を迎えることから、文科省では「経験豊富なベテラン教師たちに今一度、力を発揮してもらいたい」と話している。

 教員OBによる学習指導は、希望する小・中学生を対象に、放課後や土・日のほか、夏休みなどの長期休暇を利用し、小・中学校の教室や公民館、児童館などで行う。受講は無料とし、テキスト代などは参加者に負担してもらう方向で検討する。

 教員OBの確保は、講師希望者を事前登録する「人材バンク」のような制度の整備を目指しており、計画が固まり次第、各都道府県教委などに協力を呼びかける。講師への謝礼などについては、今後さらに協議する予定だ。

 文科省は、長崎市で2003年7月に起きた少年による男児誘拐殺人事件などを受け、地域住民と子どもたちが一緒に遊びやスポーツを楽しむ「地域子ども教室」を推進している。教員OBによる学習指導は、この事業を拡大する予定で、各都道府県を通じ、市区町村に運営費用を支援する。
(読売新聞) - 4月16日3時7分更新


少子化について思うこと2

 読売ウィークリー(2006年2月19日号)、特集「人口減社会 一万人の子をつくらぬ理由」の編集後記。
 「子をつくる、つくらぬ思い」
 漫画家のやくみつるさんは、「おのれの人生を全うしきる。それに専心する。子どもがいたら、それはできないな」と言ったそうです。
 ロックのシーナさんは、「子どもによって社会を知った。家族がいなかったら、私には何もない」と言ったそうです。
 おそらく、少子化が進むのは、やくさんのような“自分勝手な”人間が大勢出てきたから、というのが定説で、「子どもがいても自分の人生を全うしきれる」と反論する人々が多くいるでしょう。
 でも、私は、シーナさんのような「家族至上主義」も少子化の加速に影響を与えていると思います。
 社会を知る方法は多様だし、どう考えても「家族がいなかったら、私には何もない」ということはあり得ない。“シーナさんにとってのロック”さえ持てない凡庸な人々のなかには、シーナさんの発言を聞いてたぶん打ちひしがれる人もいるに違いありません。
 家族や子どもに対する思いをこういう風に主張しあうことこそが少子化を加速させてはいませんか。テレビや新聞、雑誌にかかわる人はそれに気づいていないような気がします。