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 このノートブックは、深見友紀子が原告となった裁判・最高裁パートナー婚解消訴訟の補足説明としてスタートしました。裁判の内容を知らないと理解しにくい文章があると思いますので、興味のある方は、下記サイトまでアクセスしてくださいますようお願いします。
http://www.partner-marriage.info/

 2009年以降のノートブックは、「ワーキング・ノートブック」に移転しました。

産んでくれる女性がいてこそすべてが始まる

 10月4日
 先週、タレントの向井亜紀さんと夫で元プロレスラーの高田延彦さんが、米国の女性に代理出産を依頼して生まれた双子について、東京高裁が出生届を受理するよう品川区長に命じる決定をしたというニュースがありました。
 ネット上ではめでたいことだと言っている人が多いみたいですけど、次のブログを見ただけでもこの判決にはシビアな問題点がはらんでいるようですね。
 http://scrapbook.ameba.jp/xfgfananan_book/entry-10017697959.html

 男女のパートナーシップと比べて親子の法的な関係には関心が薄く、これまであまり考える機会もなかった私にはよくわからない事柄ですが、この判決により、生殖に関するさまざまなことがすごい勢いで変わっていくかもしれないなぁと思いました。少なくともその波及効果は、内縁関係か否かの境目が話題になったに過ぎない「最高裁・パートナー解消訴訟」とは比較にならないスケールです。

 先のブログには代理出産は1000万かかると書いてあります。次のサイトをみると、あながち嘘でもなさそうです。でも、向井さんはテレビの番組で、出産というリスクをあんなに安いお金で引き受けてくれる女性がいることに感謝する、といったコメントしていた記憶があります。どちらがホントなんでしょ・・。

 代理母ドットコム http://www.dairi-haha.com/charge.html
 代理母は認められるようになるんでしょうか。

 札幌に住む私の友人は次のように進むかも・・と言っています。
 「精子バンク」が当たり前になる
 「卵子バンク」も当たり前になる
 「人工子宮」が技術的にできるようになる
 
 向井さんは2年程前、「分娩しただけでは母親ではない」と発言してバッシングを受け、一時自分のホームページを閉鎖したことがありましたが、「人工子宮」が現実になるまでは、産んでくれる女性が不可欠。産んでくれる女性がいるからこそすべてが始まるのです。
 「最高裁・パートナー解消訴訟」で、私と裁判相手との契約を「「出産請負契約」「人身売買」との印象を与えかねない様態」と書いた、立命館大学の本山敦さんのようなタイプの法律家には、おそらくついていけない時代の幕開けとなりそうです。

http://www.partner-marriage.info/hannou_2.html

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 タレントの向井亜紀さん(41)と元プロレスラーの高田延彦さん(44)夫妻が、米国女性に代理出産を依頼し生まれた双子の男児(2)について、出生届を不受理とした東京都品川区長を相手取り、処分取り消しを求めた家事審判の即時抗告審で、東京高裁(南敏文裁判長)は29日、「夫妻の子であると確認される」として、区長に出生届を受理するよう命じる決定をした。
 法務省は民法の解釈に沿って「出産者を母とする」との立場で、代理出産で生まれた子供の出生届を受理しない姿勢をとっており、今回の決定は波紋を呼びそうだ。
 向井さん夫妻は米国の裁判所で親子関係を認められており、日本でも効力があるかが争点だった。決定は「民法制定時に想定されていないからといって、人為的操作による妊娠、出生すべてが法秩序に受け入れられない理由にはならない」と指摘した。現状では子供たちは日米両国の法制度のはざまに立たされており、「向井さん夫妻に養育されることが最も子供の福祉にかなう」と柔軟に判断し、国内でも米国の裁判結果の効果が生じると結論づけた。
 向井さんは00年、子宮がんが見つかったため子宮を摘出。夫妻の精子と卵子を体外受精した受精卵を別の女性に移植して出産してもらう代理出産を目指した。3度目の移植で、米国人女性が妊娠し03年11月に双子の男児を産んだ。
 向井さん夫妻は米国の裁判所で確定した子供らを夫妻の子とする出生証明書を受け品川区に出生届を提出したが、同区は法務省の回答に従い受理しなかった。夫妻は不受理処分の取り消しを求め東京家裁に家事審判を申し立てたが、昨年11月に却下され、同高裁に即時抗告していた。
 子供たちは、夫妻が養育しているが、パスポートは米国籍で発行されている。このため、「保護者同居人が日本人である」という在留資格で日本で生活している。
 代理出産を巡っては、米国で双子をもうけた兵庫県内の50歳代の夫妻が出生届を不受理とした自治体の処分取り消しを求めた家事審判で、最高裁が昨年11月、法律上の母子関係を認めず、審判が確定している。しかし、この夫妻の場合、米国人女性から卵子の提供を受けて夫の精子と体外受精させ、その受精卵を別の米国人女性の子宮に移植して出産していた。精子、卵子が夫妻のものである向井さんのケースとは異なっている。【北村和巳、奥山智己】
 ◇法務省は困惑
 法務省のある幹部は「決定の全文をきちんと読んでみないと何とも言えない」と話し、予想していなかった事態に困惑気味。最高裁の判例に従って、同省はこれまで「子供を生んだ女性が法律上の母親になる」との法解釈をとってきた。一時は民法にこうした規定を明記する法改正を検討したこともある。それだけに「高裁の段階で決定があったからといって、ただちにこれまでの対応を変えることはない」という見方が省内では有力だ。
 ◇区だけで判断不能…品川区
 中川原史恵・品川区広報課長は30日、「決定文を見ていないのでコメントできない。不受理は法務省の指示に基づき対応した結果であり、今後の対応を聞かれても、区だけで判断できる問題ではないので答えようがない」と話した。
 ◇国は時代に応えず
 生命倫理問題に詳しい米本昌平・科学技術文明研究所長 日本人が海外で、国内では認められていない代理出産や卵子提供を受けるという現実がある。科学技術の進歩に伴い新しいルールを決めるのは当然で、生殖補助医療技術全般の法整備が必要なのに、国は時代や社会の要請に応えていない。向井さんのケースはこうした日本社会の問題を浮き彫りにしている。
 ◇ルール確立が必要
 棚村政行・早稲田大法科大学院教授(家族法)の話 法のすき間に落とされていた子供の福祉を守るという観点から高裁が出生届の受理を命じたことは評価できる。ただ、法整備がされていない中で、今回のように裁判所が個別に判断していくと、代理母が出産した子との親子関係を望んだ場合などに混乱が起きる可能性がある。厳格な医療の基準を定めたうえで、母子関係についての法的なルールを確立することが必要だ。
 ◇国レベルで議論を
 生命科学に詳しいノンフィクション作家の最相(さいしょう)葉月さんの話 今回の判決は、生まれた子の福祉を優先するものだが、この言葉は諸刃の剣で何でも認める結果になりかねない。今回は本人の卵子だが、別の女性から卵子を提供される場合や、高齢の女性が、本人の凍結卵子を使って子どもを持つことも考えられる。こうしたケースについて、国レベルの議論が明日からでも必要だ。
(毎日新聞) - 9月30日12時57分更新