パートナー婚解消訴訟の判決が出てからちょうど1年経った。
今、弁護士たちはこの判決をどのように実務に生かしているのだろう。
「16年間も男女関係があっても、同居していなくて、経済が別だったら、法律的には赤の他人と同然ですよ」、あるいは「あの事件の原告、X女(私)は、子どもを育てていなかったから負けたのであって、育てているのなら勝てますよ」か。
そうした判断にどれだけの確信があるのだろうか。
事実婚の実践者たちの多くは、「あの事件の2人は別居で別経済、子どもも男側が育てている、変わった人たち。私たちの“事実婚”を脅かすきっかけにはならない」と胸を撫でおろしたに違いない。
しかし、自由な関係形成を意図して婚姻を回避しているような内縁(いわゆる「選ばれた内縁」)は内縁の対象外にするという見解もあるらしい。
http://www.partner-marriage.info/hannou_2.html 石川博康(学習院大学法学部助教授)の解説参照。
「選ばれた内縁」の反対は何?
「強要された内縁」「余儀なくさせられた内縁」なのか。
どちらにせよ、「選ばれた内縁」のカップルはあまり楽観していてはいけないのでは?
共著「ザ・フェミニズム」(ちくま文庫)のなかで、「夫婦別姓」について上野千鶴子さんと小倉千加子さんは“あほくさ~”と言っているが、この事件のX女、私も、「夫婦別姓」に対して“あほくさ~”と思っていたし、今も思っている女である。だから、夫婦別姓論者とは近そうでいて、恐ろしく遠い。
知り合いの多くが私とパートナーSさんに「ベッセイなんですね。」と言う。
“あほくさ~”
法律家も事実婚の実践者たちでさえも、“近そうでいて、恐ろしく遠い”ことをわかっていないのではないかと思う。この事件に対する理解はそこから始まる・・・。
まだ一周年。続く判例も当分なさそうだ。